どうも、ぶんです。
ことのは文庫から出てる『ネコとカレーライス スパイスと秘密のしっぽ』が大変読みやすく、まったりペースで読めたので感想とかを書いていくよ。
カレーが好きな人もそうでない人も、猫が好きな人もそうでない人も読んでくれよな!!
簡単にあらすじ
得意料理はスパイスカレーという主人公、松本君。仕事を辞めて彼女にもフラれてしまう。
ある日白い猫に導かれるように幼馴染の中村と再会し、二人で間借りカレー店を始めることに。
初日こそ上手くいったが、集客もままならない素人による店なので客足も次第に途絶えてしまう。
今日が最後かもと思っている中、来店した「カレー予備校」の生徒、成宮さんに言われてしまう。「趣味でここまで作れるのはすごい」と。
その言葉がきっかけで、カレー予備校を知り、松本君は本気でスパイスカレーに向き合うことになる。
って感じで話が進みます。
ここで一つ注意なんだけど、主人公の松本君は決してちゃらんぽらんではない。無職になった理由が「なんの目的もなく漠然と仕事をしているのが怖くなってしまったから」というある意味超真面目タイプだよ。
意味のある事、有意義なことしなければって思っちゃうタイプの人間だよ。真面目をこじらせて仕事を辞めてしまったんかな。
派手じゃないけど青春もので成長もの
登場人物が全員大人で、非常に落ち着きのある雰囲気で話は進んでいきます。
社会に出る前の学生が思い切ったことをして青春する話ではないので、若さゆえの爆発力みたいなのは無いんだけど、そこがいい!
主人公の松本君は基本的に地味な青年なので突飛なこととかはしない。悩み方も凡人らしく共感もしやすい。
序盤の「僕は結局何もしたくなかったんだなぁ。」という一文に彼の平凡さが詰まっている気がしました。
何もしたくなかった松本君が、通い始めた予備校の仲間やスパイスに向き合って、課題である「究極のミールス」を模索していく姿は、落ち着いた雰囲気ながらも見事に大人が青春していてまぶしい。
真面目をこじらせて無職になってしまった松本君が、悩みながらも仲間に助けてもらいながら模索する姿、周りに流されていた主人公が主体性を持っていく様子は成長物語でもあります。
そして主人公の周りにいるキャラクターは個性が強い。
幼馴染の中村は小学生の時、松本君が作ったカレーを食べた日からスパイスの沼にハマってしまい、食品会社に勤めてスパイスの輸入や商品の開発に携わっている素人ながらも中々のカレーガチ勢である。
全然関係ない作品なのにガンパレードマーチの中村を思い出してしまう。
カレー予備校で出会う人もみんな職業はバラバラだけど、言いたいことズバズバ言ったり、ものすごい知識量でカレーの評論をしてたりと個性的である。
クセの強い大人が集まって課題に取り組む中で「ただ同じ班の人」だったのが最終的には「仲間」になっていく。大人が友情を深めていく姿もこの作品の素晴らしいところだと思う。
ただ、タイトルに「ネコ」が入ってるが、ネコが大活躍するような話ではないのであしからず。物語が動き出す際に現れるので多少の特別感はある。
「何かしないと」と、焦っている人に読んで欲しい1冊
のんびりと読書したい人にはもちろん読んで欲しいとおもう1冊なんだけど、現状に焦りを感じてる人にもぜひ読んで欲しい。
最近は副業だの投資だのと、インフルエンサーが色々と意識の高いことを言ってたりするのが目に入ってきて「自分も何か意味のある事、有意義なことをしなければ」って思ってる人がいると思う。
「何かしないといけない」と焦っている人にはぜひ読んでもらいたい。
意味のあることは大事だけど「意味なんてなくていい、まずは楽しみなよ!」と言ってくれる。
一生モノの正解はそう簡単には見つからないし、正解は何度も見つけれると言ってくれる。
本書ではカレーやスパイスに対してその言葉を言っているけど、カレーに限らずもっと広くいろんな物事にも言えることだと思うので、迷ってたり気分がうつむき加減な人に読んでもらいたい。
未来に対する謎の焦燥感のようなものがきっと少しは緩和されると思う。
そしてこの本、いつ何時でもカレーやらスパイスがが中心にあるせいか、やたら食欲が湧く。
食欲が湧いたらお腹いっぱい食べよう。お腹空いてたらいい考えも浮かばないもんだからね!
あと、夏バテで食欲落ちてる人も今すぐ読んでくれよな!!
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