SF短編集の本

本のこと

どうもどうも、ぶんです。

今日もブログを書いていくよ。

今日は結構前に読んだSFの小説の話だよ!

読んだきっかけよ

今日紹介したいのは、ハヤカワ文庫から出てる「My Humanity」(著・長谷敏司)

読んだきっかけや感想を書いていくよ。

今日のブログタイトルに書いてるけどこの本はSF小説の短編集です。4作品入ってるよ!

私は学生の時、長谷敏司先生が昔書いてた「円環少女サークリットガール」ってライトノベルを読んでたんですよ(シリーズの途中までしか読めてない)

それで「この作者さんほかの本出てないかな~」ぐらいに適当に調べたら出てきたのよ。

作品紹介の一文で、2個目の作品の紹介が「小児性愛者の矯正がグロテスクな結末を迎える~」て書いてあってどんな結末か気になってすぐ買っちゃったんだよ…。

買ったのは2018年ぐらいだった気がするんだけど初版は2014年だね。2014年の私は何をしてたんだろうね…買えてよかったよ。

ほんで私はこの文庫に収録されてる作品の2作品しか読めてません。

1個目の「地には豊穣」2個目の「allo,toi,toi」この二つ読んだ後の余韻がすごかったのよ。ほんとに。

「地には豊穣」「allo,toi,toi」この2つは世界設定が同じらしくて続けて読みやすいっていうのもあったのかもね。ちなみにこの2作品は同著者の「あなたのための物語」って本と同一の設定らしいです。こちらの本もまだ読めてない。

というわけで今日は「地には豊穣」について書いていくよ。

全部読んでないのに大丈夫かと思ったあなた。

大丈夫。この2編、3回は読んだ。

地には豊穣

――疑似神経制御言語ITPによる経験伝達と個人の文化的背景の相克を描く。

って紹介されてるんだけど、私この一文読んで「???」って感じだったのよ。紹介したい、読んでほしいって思ってんのにここで「やめとこっ」て思われたら悲しいのでめっちゃ簡単に世界観を書いていくよ。

大雑把にいうと、地球の資源がやばすぎて月の開発まですすんであと10年もしたら火星に移民できるねってぐらいの世界観。火星での労働者がたくさん必要だねってことで技術者の育成が必要。

でも技術者の育成ってめっちゃ時間かかるやん?そこで、脳にITPってのを移植して、技術者の経験を読ませてあげる。そしたらその人の脳内に入れられたナノロボットが疑似的に脳神経をつないで技術者の経験をその人で再現できるよ!って感じの新技術がもうすぐ世にリリースされるよって世界設定。

なんていうか、脳みそをまるっとコピーしちゃうようなすごい技術だね。

人工的な脳神経でド素人が三日でプロの技を習得できるって感じ。

ただこのITP、英語圏の方が作ったらしく英語圏文化の人が基準で開発されているので、使用者の脳が英語圏文化に洗脳されてるって非難されてしまう。それでITPの基準値を各国の文化圏に修正するよってことになり、その調整の実験に参加してるのが主人公のケンゾーと同僚のジャック

そこに日本文化のモニターとなる鹿沼音一郎氏。読んでたら和風というより古風なかんじのおじいさんだよ。椿の生垣に囲われている家に住む書道家らしいので脳内にめっちゃわかりやすい日本人のおじいちゃん。でもなんか強そう。

この鹿沼氏から抽出されるデータをITPに読み込ませたら日本の文化が身につくよって感じだね。

で、ジャックはこの鹿沼氏に心酔して書道を習ってる。それをケンゾーは良く思っていない。

ジャックは「この技術は文化を保存するすることができる。即席の技術者を作るだけじゃない」と言うんだけど、ケンゾーは「そんなん考えるのは俺らの仕事じゃねぇ。文化より技術やシステムの開発の方が大事だ!」って考えなのよ。

文化なんて一つに統一した後でそれに身体を合わせていくほうが宇宙時代にはふさわしい。ってケンゾーは本文でも言ってる。

そんなケンゾーがある日仕事で鹿沼氏の家に行き、出されたお茶を飲むと「そのお茶には毒を入れた」と言われる。顎を震わせ恐怖するケンゾーに「嘘だと」鹿沼氏は告げる。

一瞬でも死を感じたケンゾーは、その瞬間気持ちも言葉も何も形にできなかったことに気づく。文化を無くして技術だけが進んで、人類を宇宙へ連れて行くと同時に、足元を不毛の地にしてしまわないか。という懸念が生まれる。

そしてケンゾーは「特徴を強調した日本人」という鹿沼氏の日本文化のデータを自分に読み込ませる。

「厳密にはどの文化にも属さない基準値」にいたケンゾーは日本人になり、謙三になる。

ここからがすごい面白いのよ!

考え方感じ方どころか食べ物の好みすらもあっという間に変わっていくのね。それはもうぜひ読んでほしい。

読んでほしい部分ちゃんと紹介しないってどうなの?って思うんだけど、やっぱ山場は置いとかないと。

私がこの話で見てほしいのは小難しいSFの部分じゃないんだよ。大雑把にだけど説明しちゃったし。

話の終盤で謙三は桜吹雪をみるんですよ。みんなアニメや映画やドラマやらで見たことあるでしょう桜吹雪。

その文章を読んだとき、読者のみんなの脳内にもすごい桜吹雪が焼き付くと思うの。日本人ならきっと精神の奥底にある風景だと思うのよね。

私はこの「地には豊穣」を読んで思い出すたびに桜が舞うようになってしまった。

SFだからもっと無機質な印象を植え付けられると思ったけど、全然そんなことなかった。

大体60ページぐらいのこの短編。これを読み終わった後、ノスタルジックな気分に浸ることになると思う。

そうなったら一度本を閉じて、目を閉じてほしい。きっと桜が舞い散っていると思うから。

明日は2作目のこと書くよ

書いてたら時間なくなってきたから2作目の「allo,toi,toi」のことは明日書くね。

興味があったら明日も読んでね~。

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